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権勢の二人の女王の闘いのドラマで話題沸騰のオペラ

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  1. verytimes
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    メトロポリタン・オペラで公演中のオペラ「マリア・ストゥアルダ」が今ホットな話題を集めている。ガエターノ・ドニゼッティ作の同オペラは彼の女王三部作のひとつで、16世紀のイギリスを王室史実をテーマに、ヘンリー八世の不幸な王妃のアン・ブーリンを描いた「アンナ・ボレーナ」、エリザベス女王とエセックス卿との恋物語をテーマにした「ロベルト・デボゥリュウ」と、この作品をまとめて女王三部作と呼ばれている。マリア・ストゥアルダとは、「揺り篭の中の女王」と呼ばれたスコットランドのメアリー・スチュワートのことで、生後数日で父王を失い、スコットランドとイングランドの統合をもくろむ当時の政治の混沌を逃れ、母の実家のフランスの宮廷で育ち、フランス王太子妃としてルネッサンス的な女性として華やかな存在であったのもつかの間、若い王の逝去後、再びスコットランドに戻るも数々の恋の鞘当や政変も絡み、今度は従姉妹のエリザベス女王に庇護を求めるが、陰謀に巻き込まれた挙句、長く幽閉され処刑された。オペラはこの史実の最後、メリーの晩年のドラマを歌い上げるもので、ベルカント歌唱の最高峰を聞かせる傑作。今回は長い歴史のメトロポリタン・オペラでも初演というだけに、満を持した歌手陣を集めての公演となっている。 主役のマリアにはいつも役柄に全力投球し期待を裏切らないメゾソプラノのジョイス・ディ・ドナート、対するエリザベッタ(エリザベス女王)にはソプラノのエルザ・バン・デン・ヒーバーが今回同役でメットデビューを飾っているほか、マリアの恋人のレスター伯ロベルトには、近年メットでハンサムなテナーとして主人公の恋のお相手役を務める抜擢が目立つマシュー・ポレンザーニが真摯な役柄を演じている。若手中堅の実力派であり、しかも演技も出来る歌手を3人集めての舞台はそれだけで火花が散るドラマで、エリサベス役のヒーバーは肖像画にあるようなエリザベスの独特の白塗りメイクと、鬘がうまくのりやすいようにと自ら剃髪しての大挑戦でその意志の込めようが伺われる。 昨年の「アンナ・ボレーナ」の舞台も担当したデビット・マクビガーの演出の腕は冴え、舞台セットはシンプルながら、時の権力闘争の混沌と深々と迫るマリアの「死刑」を予知させ、色を抑えた衣装と共に相性良く、運命の悲しさをうまくブレンドしている。ベルカントオペラを得意とする指揮者のマウリッツィオ・ベニーニが紡ぎだす音楽は絶妙に美しく、また歌手の息とピッタリ合わせ、聞く者を飽きさせない音作り。主役のディドナートは、最大限の忍耐と我慢をして、エリザベッタに慈悲を求めるが、嫉妬にかられるエリザベッタの高慢な態度についに怒りを爆発させ激しく罵倒してしまう2幕の同オペラのハイライトの場面で、感情の起伏を精緻な技量で表現し「静」から「動」へ声で変化させる名演ぶりを見せ、他方ヒーバーも「死刑」を躊躇しながらも、嫉妬の怒りを隠せないバージン・クィーンの苦悩を見事に演じ抜いて、今後の活躍が期待される力量を披露し、息をもつかせぬ迫力の掛け合いの舞台で魅了した。近年、派手な舞台セットや演出で目を引くプロダクションが増えているなか、押さえ気味の色調と照明と無駄の無いシンプルなセットで起こりうる悲劇を暗示、オーケストラと歌唱の魅力だけで終始観客を舞台に引き付け深い感銘を与えることが可能だという証明のような舞台となっている。同オペラは今月26日までの公演。19日にはHD上映もある。チケットは20ドルから440ドルまで。詳細はwww.metopera.org

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    1. Maria_Stuarda_Donizetti_2.jpeg (164.6 KB, 0 downloads) 4 years old
    4 years前の投稿 #

  • verytimes により 4 years前に開始されました。

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